研究課題
日本の熱可塑性ポリウレタンメーカーにおいて、2つの異なるプロセスフローにおいて10種類の特性値を同時に最適化する ことが研究課題となっていました。
従来の取り組みでは以下のような問題が存在しました:
- 異なる単位(PHR・wt%)によるデータの不整合
- NCO(イソシアネート)指数をモデルに適切に反映できていない
- 未知成分の特性予測が困難で、新規材料探索に制約がある
データ処理
課題解決に向けて、まず既存データの標準化と統合を実施しました。
- PHRとwt%といった異なる表記を共通基盤に整理
- 実験条件や特性値の欠損データを補完し、解析に適した形式へ変換
- NCO指数を導入し、既存のデータセットに新たな説明変数として付与
この段階で、バラバラに存在していた配合データを一貫性のある形に整備しました。
モデル構築
次に、Polymerizeのプラットフォームを用いてモデリングを実施しました。
- 順解析モデル:配合条件から特性値を予測
- 逆解析モデル:目標特性から必要な配合条件を逆算
- 成分拡張予測:既知成分のデータを活用し、未知成分の挙動を推定
これにより、複数特性を同時に考慮する多目的最適化が可能となり、実際の開発フローに即した柔軟な設計支援が実現しました。
成果
- 精度:予測精度95%以上、MAPEは常に6%未満、R²は0.9以上
- 効率:平均誤差率を5%削減し、開発サイクルを従来の1/3に短縮
- 拡張性:既知データを活用して未知成分の特性予測を実現、新規材料探索の加速に寄与
- 実用性:順解析・逆解析の両立により、研究から製造までシームレスに活用可能
まとめと考察
この事例は、研究課題を明確に設定した上で、データ処理とモデル構築を体系的に進めることで、スピード・精度・拡張性を兼ね備えた配合開発 を実現できることを示しています。
特に注目すべきは、データ標準化 → 知識パラメータ導入(NCO指数) → モデル検証 の一連の流れが、新しい材料探索の基盤として機能した点です。これは、従来の経験則や試行錯誤に依存したアプローチを超え、研究開発を「再現性と効率性を備えたプロセス」へと進化させる重要なステップといえます。
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