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Case Study

MI活用で組織能力を高める:Polymerizeが「データ蓄積」を起点とする理由

March 19, 2026
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MI・AI活用において、組織が求めるものは「短期効率化」「長期的能力向上」「イノベーション」の3つに分かれます。問題は、これらを同時に求める組織が多く、それぞれ必要なアプローチ・タイムライン・リソースが異なるのに混在したまま進もうとすることです。本記事では、3つの目的を整理し、Polymerizeが最も重視する「データ駆動型開発の文化定着」という立ち位置を明確にします。

「AIで開発を加速したい」
「実験データを資産化して、属人化を解消したい」
「画期的な新素材を生み出したい」
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)やAI活用を検討する際、こうした期待が同時に語られることは少なくありません。どれも正しい目標であり、実現する価値があります。
しかし、これらを同時に、同一の設計で全て達成しようとする組織は、多くの場合、どれも達成できないまま停滞します。
なぜでしょうか。
それは、これらの目的が求めるアプローチ・タイムライン・リソースが根本的に異なるにもかかわらず、混在したまま進もうとするからです。
データは溜まるだけでは資産にならない。使われて初めて、組織の能力になる。
今回は、MI・AI活用における3つの目的を整理し、その上でPolymerizeがどこに立脚しているかを明確にします。

1. MI・AI活用における3つの目的

組織がMIやAIに求めるものは、大きく分けて以下の3つに分類されます。

① 短期効率化:実験スピード向上・コスト削減

目的: 今進行中のプロジェクトを、より早く、より少ない実験回数で完了させる。
必要なもの:
  • 限定された明確なテーマ(配合最適化、プロセス条件探索など)
  • 実験計画法(DoE)やベイズ最適化による効率的な探索
  • 数週間〜数ヶ月での成果
KPI: 実験回数の削減率、開発期間の短縮
適したアプローチ: 限定されたテーマでのPoCやパイロットプロジェクト

② 長期的能力向上:属人化排除・知識の資産化

目的: 組織全体のR&D能力を底上げし、熟練者の知見を次世代へ継承できる仕組みを作る。
必要なもの:
  • データ基盤の整備(過去データの構造化・一元化)
  • データ駆動型の開発プロセスへの移行
  • 組織文化の変革
  • 1〜3年という中長期の取り組み
KPI: データ活用率、若手研究者の立ち上がり速度、知見の再利用性
適したアプローチ: データ基盤の整備と、継続的な運用支援による組織定着

③ イノベーション:新素材・新製品の創出

目的: これまでにない材料や、競合が到達していない性能を実現する。
必要なもの:
  • 広範な探索空間(未知の配合・プロセス条件)
  • 高精度な予測モデルと逆解析
  • 失敗を許容する実験文化
  • 数ヶ月〜数年の探索期間
KPI: 新材料の発見数、特許出願数、市場投入までの期間
適したアプローチ: ベイズ最適化や遺伝的アルゴリズムによる広範囲探索

2. なぜ「全部同時に」は失敗するのか

これら3つの目的は、どれも重要です。しかし、同時に追求しようとすると、以下の問題が生じます。

タイムラインの衝突

①は「数週間で結果が欲しい」、②は「1〜3年かけて文化を作る」、③は「いつブレークスルーが来るか分からない」。
この3つを同じプロジェクトで同時に走らせようとすると、短期的な成果が出ないことで②③が打ち切られ、結果として①も中途半端に終わります。

評価軸の混在

①は「実験回数」、②は「データ活用率」、③は「新材料の発見数」と、それぞれ異なるKPIで評価すべきです。
しかし、これらが混在したまま進むと、「AIを導入したのに、すぐに画期的な新素材が出てこない」といった的外れな評価が下され、プロジェクト全体への信頼が失われます。

リソースの分散

①は特定テーマへの集中投資、②は全社的なデータ基盤構築、③は探索的な実験の許容。
限られた予算と人員で全てを同時に進めようとすると、どれも中途半端になり、現場が疲弊します。

現場の混乱

研究者にとっても、「今日の実験を減らしたいのか」「データを綺麗に記録したいのか」「未知の配合を試したいのか」が曖昧なまま進むと、何を優先すべきか分からず、結果としてどれも進みません。

3. Polymerizeのスタンス:②を土台に、①と③を加速する

私たちPolymerizeは、この3つの目的のうち、②長期的能力向上(データ駆動型開発の文化定着)を最も重視しています。
なぜなら、②が土台として確立されれば、①の効率化がより確実に機能し、③の成功確率も飛躍的に高まるからです。②だけで全てが解決するわけではありませんが、この土台なくして持続的な成果は生まれません。これは同一プロジェクト内だけでなく、組織レベルでの時間軸で考えることが重要です。たとえ最初は①短期効率化(PoCなど)から始めたとしても、そこで得た成果を②の実現へと繋げることで、次のプロジェクトでは過去の知見という「巨人の肩」の上からロケットスタートを切れます。

Data as Legacy(データを組織の資産に)

実験データは一過性の処理対象ではなく、次世代へ継承すべき企業の資産です。熟練の研究者が現場を去る時、企業は単なる労働力だけでなく、長年の経験で培われた直感や、成功と失敗の裏にある文脈(Why)までもが同時に失われてしまいます。
だからこそ、私たちは過去の実験データや配合履歴を一元管理し、構造化された「技術的記憶(Institutional Memory)」として蓄積することを何よりも重視します。これにより、新しい研究者はゼロからではなく、先人たちが積み上げた膨大な知見という「巨人の肩」の上からスタートできます。
もちろん、熟練者の直感の全てをデータ化できるわけではありません。しかし実際には、「勘」だと思われていたものの多くが、データを蓄積・解析することで特定の条件パターンとして明らかになります。AIで捉えられるものはAIで形式知化し、捉えられない判断の文脈は記録として残す。この両輪が、次世代への継承を可能にします。

DX as Culture(データ駆動型開発を組織の文化に)

DXの真のゴールは、ツール導入ではなく、知見が循環し続ける「文化」の定着です。属人化していた熟練者の知恵をAIという器に移し替え、若い世代がそれを巨人の肩として活用し、さらに新しい価値を創造する。この知識の循環こそが、製造業がグローバル競争力を維持・向上させる唯一の道であると確信しています。
私たちが提供する統合プラットフォーム「Polymerize Labs™」は、この②の実現を支える基盤として設計されています。データの構造化から予測モデルの構築、そして研究者の自走支援まで、一気通貫で組織のデータ駆動型開発を支援します。
この②が組織に根付けば、①の短期効率化は日常の一部となります。そして、AIが予測・効率化できる部分をAIに任せることで、研究者はより創造的な探索や判断に集中できるようになります。蓄積された知見をベースにAIが「確実な領域」を効率的に探索する一方で、研究者は人間にしかできないチャレンジングな未知領域の開拓に時間を使える。この役割分担によって、③イノベーションが生まれる土壌が整います。

4. 自社の目的を定義することから始める

では、どうすればよいのでしょうか。
答えはシンプルです。「何のためにMIをやるのか」を最初に決めることです。
もし貴社が求めているのが①短期効率化であれば、限定されたテーマでのPoCから始め、数週間で成果を出すことに集中すべきです。
もし貴社が真に目指すべきなのが②長期的能力向上であれば、データ基盤の構築と組織全体での知見の循環に、1〜3年という時間軸でコミットする覚悟が必要です。
もし③イノベーションを求めているのであれば、失敗を許容する探索的な実験文化と、未知領域への挑戦を支える予算・時間の確保が不可欠です。
Polymerizeは、どの目的から始める場合でも、最終的に②長期的能力向上へと繋がる道筋を共に描くパートナーです。①短期効率化から始めたプロジェクトが、その成果をきっかけに組織全体のデータ基盤構築へと発展する。③イノベーションを追求する中で、試行錯誤のプロセス自体が組織の資産として蓄積されていく。こうした進化を、単なるツールのベンダーではなく、貴社の研究開発プロセスそのものをデータ駆動型へと進化させる「伴走者(Enablement Partner)」として支援します。

まとめ

MI・AI活用における目的の混在は、多くの組織が直面する課題です。しかし、その混在こそが、成果を出せない最大の理由でもあります。
まずは「自社は何を目指すのか」を明確にし、それに応じた最初の一歩を踏み出すこと。その一歩が、データ駆動型研究開発への確かな道筋を作ります。
Polymerizeは、データを次世代へ継承する資産へと変え、知見が循環する組織文化を共に創ることを使命としています。貴社の目的が何であれ、まずは一度、対話から始めませんか。

次のステップ:②長期的能力向上を実現するには
「②が重要なのは分かった。でも、実際にどう進めればいいのか?」
まずは貴社の状況を整理したい方: 無料相談から始めることをお勧めします。貴社のデータで何ができるか、どこから着手すべきか、具体的な進め方をご提案します。
AI解析の可能性を先に知りたい方:
  • ウェビナー(3月24日)「画像解析AI × MI解析で生み出す材料開発ブレークスルー」
  • 次回ウェビナー(近日公開)「ベイズ最適化と遺伝的アルゴリズムの戦略的使い分け」

文責:藤田 雅大(Technical Customer Success)
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Masahiro Fujita

Technical Customer Success
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