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材料開発における画像データ活用:眠っている非構造化データを資産に変える

March 12, 2026
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材料開発の現場には、電子顕微鏡画像や外観写真といった膨大な画像データが蓄積されていますが、その多くは目視評価に留まり、データとして活用されていません。画像解析AIで画像を定量化(特徴量化)し、配合・プロセス条件と紐付けて機械学習することで、「構造と特性の関係」を解明し、材料設計を加速できます。本記事では、画像データ活用の可能性と、KNiTとPolymerizeの連携による実践的なアプローチをご紹介します。

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)やプロセス・インフォマティクス(PI)の導入が進む中、多くの現場でこんな課題に直面していないでしょうか。
「配合比やプロセス条件といった数値データで機械学習を回してみたが、予測精度が頭打ちになっている」
「電子顕微鏡画像は大量にあるのに、熟練者の目視に頼っていて、客観的な評価ができていない」
材料の最終的な特性(強度、導電性、粘着力など)は、単なる入力条件だけでなく、その結果として形成される「微細構造」や「分散状態」に大きく依存します。しかし、それらを捉える画像データは、多くの現場で未活用のまま眠っているか、属人的な評価に留まっています。
今回は、この「眠っている画像データ」をどうやって材料開発のデータ資産に変えるか、その可能性と実践的なアプローチを解説します。

1. 材料開発の現場に眠る「画像データ」

材料開発・プロセス開発の現場には、日々膨大な画像データが生成されています。
  • 電子顕微鏡画像(SEM/TEM):フィラーの分散状態、粒子の凝集度、破面の観察
  • 光学顕微鏡画像:表面の欠陥、結晶構造の観察
  • 外観写真:粘着剤の剥離後の糊残り、フィルムの外観品質
これらの画像には、材料の性能に関わる多くの手がかりが含まれています。しかし、その多くは「見て終わり」になっていないでしょうか。
研究報告書に貼り付けられた顕微鏡画像、実験ノートに残された外観写真——それらは記録として残っているものの、データとして活用されることはほとんどありません。

2. なぜ画像データは活用されないのか

画像データが活用されない理由は、大きく3つあります。

① 定量化が難しい

画像から「分散が良い/悪い」「欠陥が多い/少ない」といった判断はできても、それを客観的な数値(特徴量)に変換するのは容易ではありません。手作業での計測は時間がかかり、対象が複雑になると現実的ではなくなります。

② 数値データと統合できない

仮に画像から何らかの数値を抽出できたとしても、それを配合データやプロセス条件と紐付けて、機械学習の説明変数として扱う仕組みがなければ、MI・PIの枠組みに組み込むことはできません。

③ 属人的な評価に留まる

熟練研究者の目視による判定は精度が高い一方で、「解析の属人化」「再現性の不足」「後任への技術継承の困難さ」という課題を抱えています。

3. 画像解析AIで何ができるか

これらの課題を解決するのが、画像解析AIです。
KNiT株式会社が提供する画像解析AIソリューション「GeXeL(ジクセル)」は、独自のアルゴリズムにより、顕微鏡画像などの非構造化データから高精度な特徴量を抽出・定量化します。

具体的にできること

① 分散・凝集状態の定量化
フィラーや添加剤の粒子分布を解析し、分散度や凝集度を数値化します。これにより、「分散が良い」という感覚的な評価を、客観的な指標に変換できます。
② 欠陥・糊残りの客観評価
フィルム表面の欠陥や、粘着剤の剥離後の糊残りモード(界面破壊・凝集破壊など)を自動分類し、残渣量を定量化します。
③ 再現性の確保
AIによる自動解析により、**誰が解析しても同じ結果が得られる「再現性」**を確保できます。属人化していた画像評価を、標準化された客観的な評価へと転換します。

4. 画像特徴量 × MI解析の可能性

画像解析AIで抽出した特徴量を、Polymerize Labsに取り込むことで、MI・PIの新たな可能性が開けます。

① 構造と特性の相関解明

画像から得られた「粒子径」「分散度」「欠陥密度」といった特徴量を、配合条件・プロセス条件と紐付けて機械学習させることで、**「どのような製造条件が、微細構造に影響を与え、最終的な製品性能(強度や品質)につながるか」**という関係を解明できます。
これまで数値データだけでは捉えきれなかった「構造」という媒介変数を加えることで、予測モデルの精度が飛躍的に向上します。

② 配合・プロセス条件の最適化(逆解析)

画像から得られた定量データをベースに、次の実験条件をAIが推奨(逆解析)します。
例えば、「目標とする分散状態を得るための最適な混練条件は?」「糊残りを最小化する塗工・乾燥プロセスは?」といった問いに対し、データに基づいた答えを導き出せます。

③ データ駆動型の開発加速

これにより、試行錯誤の回数を大幅に削減し、開発期間の短縮および製造プロセスの歩留まり改善に貢献します。

5. KNiT × Polymerizeの連携:一気通貫のワークフロー

KNiTとPolymerizeは、2026年2月より画像解析領域での業務提携を開始しました。
この提携により、画像の特徴量化からAIモデリング、材料設計・工程条件の最適化までを一気通貫で支援できる体制が整いました。
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ワークフローの流れ

  1. GeXeL(KNiT):顕微鏡画像等から高精度な特徴量を抽出
  1. Polymerize Labs(Polymerize):特徴量を既存の配合・プロセスデータと統合し、機械学習モデルを構築
  1. 予測・最適化:目標特性を達成するための条件を逆解析で導出
この一連のフローにより、これまで「見るだけ」だった画像データが、予測と最適化を支える重要な変数へと変わります。

まとめ:画像データを資産に変える

材料開発の現場に眠る画像データは、適切に定量化・統合することで、開発を加速させる強力な資産になります。
画像解析AIとMI解析を組み合わせることで、これまで見えなかった「構造と特性の関係性」を明らかにし、データ駆動型の材料設計を次のステージへと引き上げることができます。

ウェビナーのご案内

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  • 「構造」と「特性」の関係性を解明したい方
詳細・お申込:https://go.polymerize.jp/knit-polymerize-webinar-2603
[お問い合わせはこちら:contact_jp@polymerize.io]

文責:藤田 雅大(Technical Customer Success)
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Masahiro Fujita

Technical Customer Success

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